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フリーライター藤谷千明の日記です

【過去記事保存】「消去法」としての"ジモト志向"  (初出: 第二次惑星開発委員会「ゼロ年代のすべて」2009年12月)

(2009年12月にコミックマーケットにて頒布された第二次惑星開発委員会「ゼロ年代のすべて」収録のコラムを微修正して掲載しています

 

「若者は東京に憧れず、地元でまったり過ごすようになった」近年よくメディア上で語られる言説である。 しかしその「地元指向」は果たして、女子にとって「まったり」できる安住の地として、選んだ結果なのだろうか?

 

 近年、地方都市の「普通の女の子」をモデルに起用した『新潟美少女図鑑』というフォトブック形式のフリーペーパーが話題を呼んでいる。

「東京の雑誌」と遜色しないという誌面クオリティが魅力で、新潟から全国へ飛び火し、全国の編プロやヘアサロン等とフランチャイズ契約を結び、東京以外の全46道府県の『美少女図鑑』創刊が決まっているほどの人気ぶりだ。

美少女図鑑』を仕掛けた会社テクスファームのHPには「地域をブランド化する」とあるが、現在発行されているどの県の「美少女図鑑」も、正直な話あまり大きな違いは無い。

言ってしまえば、東京のファッション雑誌を意識したそれっぽいメイクとスタジオ撮影に緊張している「ふつうの女の子」の写真ばかりなのである。そこに特筆した地域性は感じられない。つまり、『美少女図鑑』を支えるのは、「東京の雑誌みたいなクオリティの雑誌」に自分自身や、知り合いが掲載されるという 「祝祭」を楽しみたいという層なのである。 そして、広告ページも提携している美容院や写真館(サロンとフォトスタジオ、と書くべきか)以外は、美容師やネイルの専門学校や結婚式場etc…と、この層が求めている自己実現方法の選択肢がここに集約されているのだ。

 

 また、ケータイポータルサイト「Peps!」が女子高生を対象に行った1000人アンケート(http://ran.peps.jp/)の「憧れの職業ランキング」の1位は、「お嫁さん (174 名)」という結果であった。(余談だが三浦展氏主宰の「カルチャースタディーズ研究所」アンケートでは11位だった「キャバクラ嬢」はランキング外であった。なお、氏のアンケートには「お嫁さん」にあたる選択肢は存在しないことも留意しておきたい)たしかに保守的な結果ではある。

だがそれは、旧来の「女は結婚して家庭を守るべき…」といった意味での「保守」なのではなく、ほかに安定した選択肢がなく、文字通り「生活を守り保つにはどうするべきか?」という問いの結果としての「保守」なのだ。

ちなみに、今年(09年)の高卒女子の就職内定率は「51.8%」、大半がフリーターになるということが推測される。

しかし、高卒男子の就職率も低い(63%)昨今である。こうなると配偶者にも収入面では期待できない。厚生省の「21世紀成年者縦断調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen09/index.html)」による と、この4年間でいちばん第一子の出生率の高い夫婦の合計所得は「100万円以内」の64.7%で、住居の床面積は25平方メートル未満である。そして、第2子以降をもうけた 夫婦の場合、いちばん多いのは150〜200平方メートル未満と急激に広くなる。 これはどちらかの両親と同居していると推測される。つまり、そうしないと生活が維持できないのだ。

(親の経済援助と教育に恵まれなかったケースは、青砥 恭「ドキュメント高校中退」(ちくま新書)に詳しい)

 

 象徴的なのが、人気ケータイポータルサイト「CROOZ」ブログのひとつである「ママ/子育て(http://blog.crooz.jp/genre_info.php/?c=36)」カテゴリだ。

ランキング上位のブログの内容は至って画一的で、(いくつかは、誇張と妄想だと推測されるが)

「10代で出産、夫の暴力や浮気を乗り越え現在はシングルマザー」もしくは「流産した子供への思いを切々と語る」といった、 ケータイ小説「恋空」のアフターストーリー的な内容か、コンビニコミックのような義父母とのバトルを綴った日記のどちらかにわかれている。

(なお、現在の「ケータイ小説」自体のメインストリームは「恋空」的な世界観の実話系小説ではなく、ミドルティーン向けの学園ラブコメ小説へと変化している)

 

 そこから浮かび上がってくるのは、「ジモトでまったり」とはほど遠い、切実な日常と、すこしばかりの非日常の二極化なのではないだろうか?

 

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https://fjtn.hatenablog.com/entry/2022/08/05/213617fjtn.hatenablog.com

この記事よりも5年前、駆け出しライターよりもずっと前の「なんかよくわからん状態の人」だった頃の文章です。いや、たまたま探しものしてたらテキスト出てきたので、なんかもったいないから再利用しました。自分の問題意識の核はあまり変わっていない気がする。ただ、結局当時のわたしがいくら言ったところで、ほぼ誰にも声は届かなくて、何も変わらなかった。多分今のわたしが言ってもそんなに何か大きく変わるものもないんじゃないかな。じゃあやることはひとつしかない。「もっとデケえ声を出す」しかないと改めて思ったわけでした。今ならもう少し、やれることがあるはずなんだから。

【不思議】「世界からのサプライズ動画」問題の差別問題以外の話。

世界からのサプライズ動画についての議論が再燃しています。

 

なにが問題なのかは、昨年4月に書いた取材記事の内容から、自分の中ではとくに変化はないです。

 

www.cyzo.com

 

そして、この流れでアフリカ大陸の音楽ファン有志の方が、動画撮影地とされれているザンビアマラウイの音楽を紹介するプレイリストを公開していました。ツイートのツリーにあるメッセージをぜひ読んでみてください。

 

t.co

 

open.spotify.com

SpotifyはCEOが軍事産業に投資している報道もあるのですが…(わたしは移行するのが面倒でSpotify使い続けていますが…。とはいえ「サプライズ動画を批判する資格がない」とも思わないけど)。

 

話を戻します。他媒体も問題を取り上げる記事を公開していて、流れが変わったなと思います。個人的には歓迎しています。もっと早く他媒体がさまざまな角度で批判記事を書いてくだされば(せめてBBCで類似サービスが問題になった時点で!)、有名人のチャンネルで大々的にサービスを利用してしまうこともなかったかもしれませんが。それは「たられば」なので、言っても詮無いことです。とはいえ、これはわたしの個人ブログなので、言いますけどね。

 

そして「問題」が再燃しているため、昨年自分が記事を公開したときに(自分やメディアや他の方の批判の声に)かけられた言葉たちを、また見かけるようになりました。「差別というやつが差別」「貧困にあえぐ彼らの仕事を奪うのか」「(彼らの一部は傭兵だ)戦争に行くことになってもいいのか」「(差別かもしれないが)やらない善よりやる偽善」などなどです。みなさん、それなりに真剣に言っているようです。ところで、質問です。サプライズ動画の運営も「傭兵に行かなくてすみました」とよくアナウンスしますが(最近は「人が増えたのでそうでない人も」とエクスキューズをおいてますが)、その「傭兵」たちはどこの国から雇われ、どこの戦争に行くのでしょう? 撮影地は、アフリカ大陸にある国(ザンビアマラウイ)だそうですが。アフリカ大陸と傭兵で検索すると真っ先に出てくるのが、ロシアの軍事民間会社ワグネルがマリを中心に勢力を拡大しているニュース。

 

www3.nhk.or.jp

 

ただ、ザンビアマラウイからはマリはかなり距離があるんですよね。アフリカ大陸クソでかい。メルカトル図法の罠。だから、ここを「アフリカ」と一言でまとめていいものなのか。他にも「傭兵ビジネス」はどのくらいあるのかも想像もつかない。これからわたしなりに調べていきたいです。本当に無知です。まあ、わたし以外も似たようなもので、「このサービスがなくなったら戦争に行く人が増えるかも、どうするんだ」という人は結構いらっしゃいますが、Twitter上では具体的な説明をしてくれません。ほぼ全員「アフリカ貧困戦争」的な、ステレオタイプを消費していたうえの発言のように思えました。なお、一連の流れにキレ散らかしているわたしを見た知り合いから、「〈動画に出演している人たちが傭兵になること〉と〈日本人が差別的な動画をチャリティと称して楽しむこと〉は別の問題だろバカ」と指摘されましたけど。ええ、わたしも含めて(日本の)登場人物全員バカだとは思います。でも世の中の大半はバカなので。残念でした。

 

さて、バカなりにインターネットを眺めているわけですが、ネットニュースに掲載されてる「世界からのサプライズ動画」の運営団体のコメントや、SNSでの対応を見ていると、平たくいうと「拙い」んですよね。これまでよりも大きな批判が生まれ、逃げ切れなくなったわけですが、公に向けての対応がまったく洗練されていない。彼らの動画は差別的ではあるが、「狡猾な悪」ではないように見える。これはこれでレッテルに近いけど「闇バイト」に手を染めた人たちのことを思い出します。(彼らのやっていることは犯罪ではないので、完全に重ねてしまうのはよくないし、するつもりもありませんが)

 

まーた話変わるんですけど、数年前にひょんなことから(ひょんなことからって何?)今でいう闇バイトの片棒を担いでしまった人とやりとりしたことがあるんです。そのとき、その人が口にした「(士業の人もいたし)いいことをしてると思ってた」という言葉がずっとひっかかっているんです。本気でそう思っていたのか、そう思い込むことで安定を図ろうとしたのか、わたしに対してなにかごまそうと思ったのかは、わかりませんが(っていうか、他人の内面などわからんに決まってるので、サプライズ動画の出演者たちに「彼らは納得してやっているに違いない」と自信満々に言える人たちの気持ちも、本当にわからないンゴねぇ)。

 

そして、サプライズ動画運営団体のメディア対応してる人の中には顔や名前が出てる人もいます。でも、盛り上がってるサービスのわりには「表に出ている人」が少なすぎる気がします。気のせいかな? それは「本当は良くない」と踏んで、リスクをとっている人がいるからでは? この心配は、杞憂で終わればいいのだけど。(まぁ、そもそもが大きなお世話なんだけどね)わたしは別にこの人たちを「懲らしめたい」から記事を書いたわけではいから。できれば誰も不幸になってほしくないよ。

 

ちなみに、今回批判が盛りがってるのは、有名人がきっかけというのもあるけれど、単にブームが終わったという面もあると思いますよ。やれやれだ。この動画サービスが廃れたとき「人権派によって潰された」「差別だと書き立てたメディアやライターのせいだ」と言われるのかな。そのとき槍玉に上がるのはわたしなのかな。未来のことは誰にもわからないですからね。

 

で、さらに余談なんだけどさ、さっき書いたような「やらない善よりやる偽善」、「差別を指摘してるやつが差別(ポリコレ野郎(雑概念)の方が実は悪いことをしている)」みないなの、ああいうのに惹かれるのって、わたしの世代というか、90年代末〜ゼロ年代前半くらいのインターネットに自意識を置いたまんまにしてる人ですね(わたしもわりとそうです)。で、そういう人はこの件に噛みつきがち。こんなふうににね。

 

 

大人気ないかもしれないけど、せっかくなのでこの人とコンタクトを取ってみようと思ったんです。たくさん似たような人はいるのに、この人である理由? 人の名前使って堂本かおるさんに当てつけってか嫌がらせしてるからですよ。テメーなにしてくれてんだ。でも、ブロックされちゃった。見せて欲しかったですね。今流行りの「ポリコレ」をギャフンと言わせる「論破」ってやつ。残念。冗談はさておき、わたしはわたしでサプライズ動画批判記事に関して「いいことしてる風のやつらが気に入らねえ」という瞬発力で行動をおこした部分もあるんですよ。だからこそ、こういう人たちと、わたしを分けたものはなんだろう。自意識の出身地は似ているはずなのに。だからこそ、知りたかったんだけどな。

 

この本は買いました。読むぞい。

 

じゃあ、またね。

おしごと月報【4月〜5月】

こんにちは藤谷です。

 

執筆原稿は個別記事ではなく、従来どおり月報形式にします。

わかりにくいかしら? まあちょっと色々試してみます。

■おしごと(WEB)

集英社オンライン」にて、子供向けのお金の本が増えているので調べてみましたという感じの取材記事を寄稿しています。

こういう時事ネタをバン!って出す短距離走的な仕事を久々にやったけど、やっぱり楽しいな。またやりたい。

shueisha.online

 

月イチ連載「推し問答!」です。

tvbros.jp

tvbros.jp

第3回は、ダンス&ボーカルユニッ…メンズ地下アイドル、いわゆる「メン地下」のオタクをやっているKさん(匿名)です。顕名の人というか、「最初からなにか別のことで名が知られている人」の推し語り、どうしても「別のことで名が知られている」ことがバイアスになって、それが良い方向に働くこともあるけど、そうじゃないこともある。なので今後もできれば匿名の方の回も盛り込みたいなと思っています。ちなみにオチは別に狙ったわけではなく、わりと早い時期に収録してたけど掲載の順番を考えて3回目となった結果、取材時期と公開時期の間が空いただけなんですよね…。

 

tvbros.jp

tvbros.jp

 

第4回は、ずっとお話を伺ってみたかった評論作家の手条萌さんです。ご出身が広島県ということもあって(わたしは山口県出身です)、謎のシンパシーを抱く取材でした。DEODEO!あと、わたしの記事や本も以前から読んでくださっていたそうで(市川哲史さんとの共著「すべての道はV系に通ず。」を連載時代から読んでくれている人は…マジでレア!)、嬉しかったです。ぜひ、「ワーキャーの星」となり、いい感じに健康に売れ倒してほしいです。お体だけはどうか大事に。

 

手条さんの「M-1」についての連載はこちらです。続きが楽しみです。

shinsho-plus.shueisha.co.jp

 

realsound.jp

現在ツアー中のゴールデンボンバーの皆様のインタビューを担当しました。

本来なら3月末に出るべき記事なのですが、自分の筆の遅さのせいで、5月になってしまったので、申し訳ないです。↑の手条さんとの対談の後編で少し触れた「書き手の責任」について、すごく考えることの多い取材でした。これが現状の自分の力量の上では「最善」の仕事であったと自負しています。写真、素敵ですよね。

 

comic-boost.com

原作プロットを担当している、「オタク女子が、4人で暮らしてみたら。第2期」(作画:泥川恵先生)も隔週で更新されています。

■おしごと(紙)

 

テレビブロスの書評欄「ブロスの本棚」にて、ひらりささんの「それでも女をやっていく」(ワニブックス)について書いています。平成と男女雇用機会均等法の話をしていたら、気がついたら「おもしれー女」の話になっていました。なんで?

 

4~5月の執筆仕事はこんな感じです。刊行ラッシュ(当社比)も終わったので、そろそろ執筆に全集中します。したいンゴねえ。がんばります。

 

じゃあ、またね。

【感想】『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』(朱野帰子さん・著)の感想

この記事は、5月21日「技術書典14」にて頒布された『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』(朱野帰子さん・著)の感想です。

 

techbookfest.org

 

小説家の朱野帰子さんは『わたし、定時で帰ります』のドラマ化を追い風にして原作小説が20万部を越える大ヒット。しかしそれは良いことばかり持ってきてくれたわけではありませんでした。急に「売れ」が来たことによって生まれた小説執筆以外の仕事、「売れ」が起こす周囲の変化、それによる自身の心身への影響、まるで嵐のような「売れ」からの生還(生還という言葉が相応しい)〜回復までの経緯が記録されている「技術書」です。リンク先に目次があるので、詳しいことはそこで確認してみてください。わたし要約下手だし。技術書といっても、かたい文章で書いてあるわけではないので、エッセイ感覚で読めます。

 

目次を見て気になるやんけ〜となったものの、今現在色々あってあんまり家から出られないので(別に病気とかではない)、通販ないかな〜と思ってたところ、なんと「技術書典」は会場に足を運ばずとも、サイトで本を手に入れる仕組みがあることを知りました。やったー、買いまーす。そして『世界の中心で、愛を叫ぶ』の帯の柴咲コウのごとく泣きながら一気に読みました。涙ぐんだくらいで、ずっと泣いていたわけではないので、今のは誇張です、すみません。

 

わたしは小説家ではなく、「エッセイを書くけど、取材原稿も多い人」です。面倒なので「フリーライター」と名乗っています。エッセイストじゃないし、ジャーナリストでもないし。あ、でも健康保険が泣くほど高いのでエッセイストの組合、文筆業の組合には入りたい…(紹介者がいないのです)。すみません、話がそれました。正直、今現在わたしはフリーライターとしてもいうほど「売れ」てはないのですが(売れたいか、売れたくないかと聞かれたら「売れた〜い」と元気よくお返事します)、それでも「わかる…」となる箇所は多く、これはつまり、フリーランスの文筆業がなにかしらのきっかけを経てなんらかの評価され、〈執筆〉以外で求められる部分が増え、それがどんどん周囲と自分でズレていくことの負担というか。それは相手に対して言葉にしないと伝わらないのだけど(言葉にしても伝わらないことは…あるが!)、そもそも「変だな」と思っても、自分の中に判断基準がないからわからなかったりする。

 

基本的に文章を書くのは「個人戦」なので(マンガ家やフリーランスプログラマーもそうなのかもしれない)、フリーライターの中でも、出版社勤務からフリーランスになる人は多いですが、そうではなくブログ書いててそこから書籍化、商業ライターに、とかの場合だと、同業者の知り合いや仲間が少ないこともある。そうなると「変だな」と感じる仕事相手がいたとしても「この人の言ってることは業界のローカルルールなのか、それとも単にこの人が変なのか、とかがわからないこともありますし。それをなんとなく見過ごしてたら大変なことになって、そのフォローで時間をとってしまい、本来やるべき仕事に遅れが出ることも。本来やるべき仕事を発注してくれている人は、なにも悪くないのに。そして「世間知らずなわたしが悪い」と自己嫌悪…それがまたストレスになる、書いて字のごとく悪循環。あるいは「こういった諸問題を上手くいなして立ち回るのがプロフェッショナル、そうあるべき」と無理をしたり。


「売れ」という現象は本文で「隕石」とも喩えられていましたが、急に来るし来たら大変なことになる、下手したら命にかかわる。公私共に他者と協力しないと乗り越えられない、ある種の嵐のようなものという…(もちろん「売れ」の対価は入ってくるけれど、はたしてそれは費用対効果、その後のダメージなどを考えたら適正価格なのか…? というケースだってあると思います)。


「本が売れる」以外でも、急にバズったりして環境が変わる可能性のあるクリエイターの人は読んで損はないはず。会社組織でも「急に評価されて大変なことに」ということもあるかもしれない(わたしはずっと非正規雇用が多かったので「評価」に無縁だったからちょっとわかんないですが)。そして、そういう人の近くにいる人、家族だったりパートナーだったり、友達だったり、「あの人、ずっと頑張ってて結果が出てよかったな、でもなんか機嫌悪そう」というとき、「忙しい」以外の理由が想像できないけど、なんか心配だなという人とか。みんながみんなこの本と同じということはないと思うけれど、「売れ」が来て生まれる摩擦は、作家ではなくても、結構似ているのではないかと予想します。というわけで、けっこう間口の広い書籍なのではないかと。みんなで生き延びようね。(正直このブログの更新続けているのも「仕事じゃない文章」を書くことで休憩しているところもあります。仕事もしてますが。あとは、わたしの場合、自分が「取材する側」になることもあるので、そこで気をつけるべきことも書いてありました)

 

ちなみにわたしは朱野帰子さんの小説ですと、『対岸の家事』も好きです。作中にいろんな立場の色んな人が出てきますが、それぞれの立場を尊重した上で物語を紡いでいる。気持ちよく読める本です。

 

 

 

 

【不思議】中年オタクのルームシェアの話がバズってるときに思うことについて(というか宣伝)

こんにちは、藤谷です。

基本的にインターネット(だいたいTwitterを筆頭にSNS全般)に脳を置きっぱなしにしてきた人生なので、インターネットの話しかできないんですけど、弊タイムラインでは定期的に「将来は女性(オタク女性)で一緒に(あるいは近居で)暮らしたい」というツイートがおバズりなさり、なぜかそれに対して「今すぐやれよ」的に煽ったり「できるわけないだろ」と怒りちらかす人が散見されます。全員素行の悪いルームシェア人間に部屋貸してひどい目にあった大家さんなのかな。それは完全にタイムラインの構築を間違ってしまっている。まあわたしのタイムライン構築ミスはどうでもいいんですよ、なんか不思議だなと。

だって、たとえば「将来は南の島で暮らしたいな〜」ってツイートするじゃないですか。そこで「今すぐやれ」「できるわけないだろ」っていう人は少ない気がして。いるのかな? わたしの観測範囲では見たことないかも(これもタイムラインの構築の問題かもしれない)。そもそも「願望」は「絶対実行しないといけない」ものでもないですし。えー、しなきゃダメですか? 疲れません? その考え。

はい、ここでアラフォー中年オタク4人で暮らして早4年、エッセイ本も出しているわたしが宣伝目的でいっちょかみしま〜す。本の存在を知らせ、売りたい! できれば新品を!(とはいえ二次流通で読んでいただいても、不愉快に思わないタイプではあります。とはいえ新品のほうが当然うれしいです。ただこれはこっちの都合ですので、それぞれ、法の範囲内で何卒よろしくおねがいします)

「友達同士で暮らしたい」に関しては、もうこれはメンツと物件が噛み合えば(体感的に)全然OKだと思うんですよ。実際友人同士でルームシェアしてる知り合いは2,3人でしたら、それなりにいますし。4人はけっこう珍しいかもしれない。4人、意思疎通が上手くいくならば、家賃光熱費などの生活コストが抜群に軽くなるので、快適です。あとは人間関係と同等、あるいはそれ以上にハード面、物件がどれだけ全員の希望に沿ってるかが大切という実感があります。今住んでいる家、かなり快適なのですが、定期借家(大家の都合で更新可能かどうかが決まるタイプの定期借家)なので、ここに住めなくなったら、また生活の仕方を変える必要も出てくるかもしれません。

 

 


で、「 将 来 は 友達同士で暮らしたい」のほうが重要ですね。おそらく、真っ先に突っ込まれるのが、「老後(心身の自由が現在のようにならなくなったとき)どうするの」ですね。まぁ独身一人暮らしでも、大家族でも、全員が考えるべきことだとは思いますが、それは。「他人同士」の場合、事故や大病で緊急手術などのアクシデントが起きた場合、病院の手続きも難しい場合はありますね。「友人同士」でも可能な同性パートナーシップ制度のある自治体(わたしが自治体のサイトを読んでそう解釈したので、違ったらごめん)もあったような気がするけど…稀ではある。ぶっちゃけ死んだときも、病院や警察、お葬式、墓とか含めての手続きも「家族」が一番スムーズだと思う。ここは今後「他人同士でも、あんまり面倒じゃない方法」を調べていきたいところです。老後はわからんが、できれば更年期くらいはこのスタイルで乗り切りたいとはずっと言っています。

 

 


こちらの本では、弊ルームシェアメンバーで「老後もいけるかなあ?」ってテーマの座談会が収録されています。まあ結論からいうと「不確定要素多すぎだから現状厳しくね?」です。ネタバレをしてしまった。でも他の記事も大変面白いのでぜひ読んでみてください。これは、宣伝です。


とはいえ、今の調子のルームシェアのまま50代になったら、お互いになんかあったときのためにガッチガチの書面作っとくとか、色々準備しておこうかな〜とは思いますけど。今も一応エンディングノート作ってますが、ばったり死ぬよりは「要介護」になったときの場合の想像がちょっとつかないところはあります。わたしは訪問介護ヘルパーのバイトもしているのですが、本当に同じ境遇でも人によって状況が違うケースは多々ありますし(というか、ケース「しかない」)、「こればっかりはわからん」としか言えない。だから反対に「そんなの無理に決まってる」とキレ気味に決めつける人たちのことも、「わかってるならすごいけど、わかんないのに言い切るのはすごいな〜」と思います。

あ、でも、自分の知見は今後も記事にしたいけど、万が一誰かが亡くなった…とかの話は実録にはしたくないかもしれないなあ。親御さんとかがどう思われるかわからないし。でも、わたしが死んだときは手続きとかの知見をガンガン実録にしてくれていいけど。これは書いとくね! よろしく!

じゃあ、またね!

【日記】地元の金魚と新宿のタワー(と、わたし)

まさか、お前とここで、相まみえるとはね。

 

 

「お前」とは山口県柳井市の民芸品、金魚ちょうちんのことです。山口県柳井市はわたしの出身地です。(が、平成の合併で吸収された町なので、市街地からは結構距離があります)
ねぶたに着想を得たとかなんとかで(細かい記録は残ってないらしい)結構かわいいやつです。最近、都内のホテルの納涼イベントなんかでも見かけていたので、ここにも使われるんだ〜。マジか〜。すごいな〜。

 

kingyochochin.com

 

で、「ここ」とはオープンしたばかりの東急歌舞伎町タワーのことです。

www.tokyu-kabukicho-tower.jp

 

このタワー、もしも作った人(作った人?)が読んでたら申し訳ないんですけど、わたしの周囲ではあまり評判がよろしくなく、金魚ちょうちんが吊るされている新宿カブキhall 〜歌舞伎横丁も行った人から「いかにもなシティポップ流してて最悪」「ここにはシミュラークルしかない」など、様々な角度から忌憚のないご意見が飛んでました。できたばっかでそんなにボロクソ言われる場所、ある?(あるかもしれない) じゃあ皆は何が入ってたら納得するんだろう。ロボットレストラン?

 

フロア一面「外国人(雑概念)が考える日本」みたいな派手な装飾とお値段がやや高めの全国各地の食べ物(地方ごとにまとまっており、山口県中四国エリア)。おそらくはインバウンド観光客を想定した場所なのでしょう、現地民(わしら)のことは視界に入ってないのかもしれませんが……。ピカピカのショッピングモールに昭和レトロな駄菓子屋テナントみたいな、アレの新宿歌舞伎町版というか。東京版というか。かつては地方都市が東京の真似をしてる、と揶揄されていたと思うのだけど、東京のコスプレを東京がしている感じ。変といえば変。怒る人も出てくるのは、それはそう。そんな場所の頭上に浮いてるのが、わたしの地元からやってきた巨・きんぎょ。まあ、ちょっと面白いと思っちゃいますよね。

 

しかしこの金魚のお腹の部分にデカデカと書いてある「まいまいする」って何かしら? 検索→「高知県の方言で“わくわくする”の意」だそうです。

 

……待て待て! さすがに中四国一緒にしすぎではありませんですこと!? 飯のエリアが一緒でも、別の県の民芸品に別の県の方言書く? 世界中から来る観光客からしたら、本州にある山口県と瀬戸内海を隔てた四国は高知県とは誤差の範囲なのかもしれません。イッツ・ア・スモールワールド。いや、わたしもアメリカの州の違いとかあんまりわからないけど…。あと、山口県高知県の方言にわたしの知らない関連性があったら申し訳ないのですが。

 

よくわからない場所で、よくわからない感じで飾られている、わたしの地元の巨・きんぎょ。なんかずっと気になって眺めていたのです。

 

いや、別に大都会東京で地元のものを視界に入れたくないとかでもないんですよね。別に地元嫌いじゃないし(実家の一部が苦手なだけで)。なんだろうなあ、なんかコイツ、コイツら、「わたしみたいだな〜」って思っちゃったんですよね。最近のわたくし、なんだか、書く人のような、喋る人のような、なんだかよくわからないことをして、よくわからない場所にいるような気がしていて。足元がおぼつかない感じ。まあ、君らもがんばって足元を確保してね、わたしに言われるまでもないか。そもそも金魚は足がなかったね。ごめん。

 

まあ、この日記も、本当に全方位(建物・お店・金魚ちょうちん作ってる会社など)に失礼な話ですね。

 

ところで金魚ちょうちん、「鬼灯の冷徹」に出てくる金魚草に似てるなと思って検索したら、全然似てなかったです。

 

またね。

 

【告知】「話す、松永天馬 ~第十六夜:話す、推し活2023~」にゲスト出演します。

こんにちは、藤谷です。

6/25(日)に、アーバンギャルドやソロワークで精力的に活動されている松永天馬さんのトークイベント「話す、松永天馬 ~第十六夜」に出演します。テーマは推し活。そしてめりぴょんさんも出演します。この座組のイベントはは3年ぶりですね。

 

さかのぼること今年の3月、わたしの誕生日にめりぴょんさんからお祝いメッセージをいただき、なんとなく「3年前と比べて色々なことが変わりすぎているので、久々にお話ししたいですね」となり、「じゃあイベントを」「またあの座組がいいのでは」という流れで、イベント実現の運びとなりました。松永さんに昨年インタビューさせていただいたときも、昨今の推し活の話になりましたしね。

 

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/32821

 

しっかし、数日前に「推し」関係のブログ記事がわりと読まれたタイミングで告知するの、正直ちょっと気恥ずかしさがありますが、告知します。そう、わたしは告知の鬼なので。

 

■話す、松永天馬 ~第十六夜:話す、推し活2023~

ゲスト: 藤谷千明 めりぴょん

6/25(日)開場1730開演1800 新宿ロックカフェロフト

 

urbangardefc.shop-pro.jp

 

すでにチケットは残りわずかのようです。何卒よろしくおねがいします。

 

またね。