fjtn_cの日記

フリーライター藤谷千明の日記です

ライターという生業日記(2021.12.05)

「ライター」という職業も、なかなか意味の広い言葉であって。

記事を書く専門の人もいれば、他のこと(ラジオMCとか講演会とか)もやる人もいるし、「ブックライター」的な書籍を主戦場にする人もいれば、WEB記事メインにやってる人もいる。ずっと在宅の人もいれば、日本中、世界中飛び回っている人もいる。専業の人もいるし会社員をやりつつ兼業でもバリバリ本を出している人もいるわけで。まあそれぞれの大変さがある。基本的にライターというのは「大変」な仕事であるというのが共通認識…なのかな?

まあなんだかんだ言って書いている時間は長いし、インプットや事務処理など「書いてない」けど仕事と呼べる時間も長い、人によっては趣味と仕事が曖昧になっているので(わたしもそのタイプだと思う)、時給換算したら虚無になるケースも多いのでは。割の良い仕事、と感じてる人は少ないのかなと周囲を見ても思う。

まあライターに限らずフリーランス全般にいえることかもしれないけど、一般的な会社員とは別のコミュニケーション能力が必要だったりするし(でもあんまり仲良くない人の家族や恋人の話を聞きながら昼飯を食べなければならない…みたいなのはないので、そこは楽だと思う。っていうか今あるのかそういう職場?)、仕事のハンドリングを全部自分でやるって結構な手間だったりする。あと年金や保険などの社会保障も薄いといえば薄い。守りたい! 国民皆保険制度!

で、「ぼんやりしたライター志望者」の話がタイムラインに発生し、逆鱗をペリペリされる者が続出するのも定期的に発生するわけで…。

今回の逆鱗記事はこちら。

「YouTuber?エンジニア?令和時代の大人1231人のなりたい職業ランキングTOP10!」という、

「株式会社PLAN-B(東京本社:東京都品川区、代表取締役:鳥居本 真徳)が運営する、メディア「エラベル」が全国の男女1231人を対象に「大人のなりたい職業」に関する アンケート調査を実施」したランキングが発表されており、輝く1位が「ライター」、そして主な理由が「在宅でできるから」「場所や時間を縛られることがない」「文章を書くのが好き」などなど。

わたしのタイムライン以外でもさらっとツイッター検索する限り、第一線で活躍されているプロと思わしき方の「現実は違う」「そんな気持ちでやるならやめとけ」的な反応が並んでおり、世界、「ぼんやりしたライター志望者」に厳しい…。

そういえば、服部昇大先生の「邦キチ! 映子さん」に登場するキャラクター「池ちゃん」(なんかカルチャー的に意識は高いんだけど、世の中の流れを気にしすぎている、書いているものは面白くない、あとなんか全体的にウザい大学生)が、やはり「ぼんやりしたライター志望者」なため、架空の人物相手とは思えないテンションのお説教が発生しているのを見かけ、拙者も思わず「わたしは池ちゃんの味方だよ! 池ちゃんでも“勝てる”領域があるよ! 頑張って!」という気持ちに(※架空の人物です)。 http://comip.jp/spinel/works/eiko/

まあ実際「大変」か「大変じゃない」かというと、前者ではあるけれど、個人的には「なんとなく楽しそうだからなりたいな〜」と思うこと自体は悪いことではないと考えていて、志望者の母数が多いほうが才能が集まるのは世の常だし。なんとなくやってみたけど向いていたので大成した、みたいな人もいてほしい。どちらかというと、「なんとなく楽しそうだからなりたいな〜」を変なスクール(←偏見)とかクラウド仕事で搾取みたいなことを心配してしまうな。学校も相性があるし、クラウド仕事も場数踏むには悪くないという人もいるので、一概にはいえないけれど…。

「ぼんやりしたライター志望者」に世界が逆鱗ぺりっとされる一方で、即戦力の書き手は足りていないという話は編集者から聞くことも少なくなく、つまり「育てる仕組み」が足りてないってコト…? とハチワレフェイスに。

自分自身の力のみで、自分を成長させることができる人はレアであり(それはもう「才能」であるよ)、ライターに限ったことではないけど、フリーランスにおいても「ある程度面倒見のいい人」(ライターにとっては編集者がその立場になるケースが多い)に出会うか出会わないかで、成長率は変わってくる。そこがかなり運ベースとしかいえないのが難しいところで。たとえば「面倒見が良い」が、ちょっとしたことで「距離感を見失ったハラスメント」になる可能性とかもある。

どう考えてもハラスメントということもあれど、先日「ライターのアシスタント的なコミュニティに入ったらテープ起こしなどの雑務のみ、アドバイスやフィードバックも少ない、下積みにすらならない(※意訳)」という記事を見かけ、自分自身は駆け出しの頃、ほかのライターさんのインタビュー取材や座談会等のテープ起こしを「勉強になるな〜」と思って積極的にやっていたので(今でも他のライターさんの取材したものを、テープ起こし・構成をする記事もやっているけれど、やっぱり「こういうときはこういう聞き方するんだ!」などの発見があるので好き。あと「間」の作り方とか人によってホント違うんですよ)、わたしの元に相談にくるライター志望者の方には、まずテープ起こしをやってもらっていた。そんなわけで、その記事を読み「そうとらえる人もいるんだ…」と認識のズレを感じ、今後はもう少しそのあたりの意志を確認しようと思ったのであった。自分が「よし」と思っていても相手がそうでないと思っていることは多い。フリーランスはどうしても「生存バイアス」的な方向になってしまうし。色々考えてるほど、フリーランスフリーランスを「教育(って言い方もおこがましいけど)」するのは難しい。

じゃあ学校で学んだほうがいいのか? と思うものの、さっき書いたように、こっちも向き不向き、運要素も大きい。どうしたもんかな。

最後に、「大変」の種類のなかで、大きなウエイトを締めているのが経済的な問題だと思うので、「儲かる(せめて経済的に困窮しない)」仕事と、多くの人が感じることができるようにするには、どうしたらいいのかな〜自分も含めて〜と思うのであるよ。